イラストレーターや絵師の方にとって欠かせないガジェットが "液晶ペンタブレット"(通称:液タブ)ですよね!
しかし新型コロナウイルスの影響でリモートワークやオンライン授業が一般的となった昨今では、遠隔で授業やプレゼンを行うための手段として、液タブの需要が一気に高まっています。
液タブと言えば日本のメーカーであるWacom(ワコム)の製品が最も有名ですが、ほとんどのモデルが10万円超えとなっており、初めて液タブの購入を検討している方には、中々手が出しづらいと思います。
そこで今回は、5万円前後のリーズナブルな価格に対して非常に高い性能を誇る、XP-PEN社の液タブ『Artist Pro 16』について紹介したいと思います!
▼15.4インチディスプレイ搭載の液タブ
ブランド | XP-PEN |
型名 | Artist Pro 16 |
ディスプレイサイズ | 15.4インチ |
解像度 | 1920 x 1080 |
対応OS | Windows 7/8/10、Mac OS X 10.10以降、Linux |
色域 | Adobe RGB 99%、NTSC 94%、sRGB 133% |
筆圧感度 | 8192レベル |
スタイラスペン | X3 Elite Plus |
本体サイズ | 443.27 x 256.45 x 9mm |
表示エリア | 340.99 x 191.81mm |
本体重量 | 約1.4Kg |
『Artist Pro 16』は、15.4インチディスプレイを搭載した、高性能な液晶ペンタブレットです。
元々は日本で設立された企業であり、現在は中国のメーカーに買収されXP-PEN社により開発されている数々の液タブの中でも、最も人気の高いモデルの1つです。
ディスプレイ解像度は1920×1080(フルHD)に対応。Adobe RGB 99%、NTSC 94%、sRGB 133% という高い色域カバー率により、多様かつ鮮明な色彩を実現しています。
8192レベルの筆圧感度に対応しており、60度の傾き検知機能も搭載。付属のX3 Elite Plusスタイラスペンを用いて、線の太さ・色の深さの微妙な変化をより良く表現することが可能となっています。
また本製品は、スタイラスペンの性能と構造を飛躍的に向上させる最新の "X3スマートチップ" を採用。ON荷重がわずか3gまで減少し、検知能力が従来製品の10倍にアップ、軽いタッチで思い通りのイラストを描けるようになりました。
そして何より、本製品の厚みは約9mmほどの薄さに抑えられており、必要なインターフェースもコンパクトな筐体へすべて集約されています。
これほどの高性能設計にもかかわらず、価格は5万円前後。
機能面・デザイン面・コスト面のいずれにおいても高いクオリティを実現した、非常にオススメ度の高い液タブとなっています。
今回、開発元より本製品を提供していただいたので、実際に使用した感想を元に良かった点・悪かった点などを分かりやすくレビューしていきます!
製品本体および付属品
製品本体および付属品について紹介していきます。
▼製品外箱の様子。
▼液タブ本体や付属品一式がすっぽりと収まっています。
▼内容物をすべて取り出した様子。
内容物一覧
- 液晶ペンタブレット本体
- クリーニングクロス
- Elite Plusスタイラスペン
- ペンケース
- 替え芯×9
- 電源アダプター
- 3 in 1 USBケーブル
- 延長コード
- 2本指グローブ(黒)
▼説明書は日本語にも対応しているので安心です。
▼日本向け以外にも様々な形状のコンセントアダプターが付属しており、旅行先でも利用可能です。
液タブの外観
▼正面から見た様子。15.4インチディスプレイを搭載したスタイリッシュなデザインです。
▼裏面の様子。金属特有の光沢が見られ、高級感があります。
▼iPhone XR(右)と並べた様子。大体のサイズ感が分かると思います。
▼本体重量は約1.4キログラムと比較的軽く、片手でも問題なく持ち運べます。
▼横から見た様子。約9ミリと非常に薄いです。
本製品は、数ある液タブの中でも圧倒的な薄さを実現しています。
▼厚みはiPhone XRと大差ないほどです。
軽くて薄いため、外出先などへの持ち運びにも長けています。
▼持ち運びの際には、対応するケース類の利用をオススメ。
ディスプレイに対して筐体全体が最小限のサイズに収まっているため、デスクの省スペース化にも貢献すると思います!
搭載インターフェース
ペンタブレット表面には、下画像のように『デュアルホイール』(中央)と、計8個の『エクスプレスキー』が用意されています。
デュアルホイールおよびエクスプレスキーは、専用のソフトウェアを利用することで機能を自由にカスタマイズできます(後述)。
また、側面には操作ボタン・ポート類が集約されています。
▼左から『ストラップホール』『USB Type-Cポート』『電源ボタン』『輝度調整ボタン』が用意。
タブレット側面をタッチすることで、輝度を簡単に調節できる点は嬉しいですね!
コンパクトな筐体に必要な機能がすべて集約されています。
新型X3 Elite Plusスタイラスペンが付属
本製品には新型の『X3 Elite Plusスタイラスペン』が付属します。
▼高級感のある金属製ケースに収納されています。
▼ペンと一緒に計9本の替え芯も付属しています。
▼スタイラスペンの外観。
▼先端には2つのサイドボタンが搭載されています。
▼そして後部先端にはテールスイッチが用意。
いずれもペンタブレット本体のボタン類と同様に、専用のソフトウェアを利用することで機能を自由にカスタマイズできます(後述)。
ペンは電磁感知式のため、使用するために充電や電池などは必要ありません。
そしてArtist Pro 16では最新のスマートチップ『X3』を搭載しているため、ペン自体の性能もパワーアップしています。
検知能力は最小荷重3グラム、沈み込みは0.6mmまで減少。力を入れずとも、軽いタッチでスラスラと描くことができます。60°までの傾き検知機能も搭載。
またペンの筆圧感度は8192レベルに対応しており、これは現時点における最高水準。
そして内部構造の改良を加えることで、従来のスタイラスペンに比べて約2倍の寿命を実現しています。
PCへの接続方法
本製品を利用するためには、PCに接続する必要があります。
▼付属のケーブルを使用しましょう。
3 in 1 USBケーブルのType-C端子を、ペンタブレットの側面に接続します。
▼直角に折れ曲がった設計のため、ケーブル接続状態でも邪魔にならない点がGood。
続いて、HDMI端子、および2つのUSB端子をPC側に接続します。
▼ケーブル長が短くて届かない場合は、付属の延長ケーブルを使用すると良いでしょう。
なお、使用しているPCによってはHDMIポートが無い場合もあると思います。
そのような時は以下↓のような変換ケーブルを用いることで、HDMIポートの代わりにUSBポートを使用して映像を映し出すことができます。
※計3つのUSBポートが必要となるので注意しましょう。
USBポートが足りない場合、付属の電源アダプターを利用して給電をコンセント経由で行うことで、USBポートを1つ節約できます。
▼主に2通りの接続方法が可能
ケーブル類の接続を完了した状態で電源ボタンを押すと、ディスプレイにPC映像が表示されます。
実際に使用した感想
それでは、実際に『XP-Pen Artist Pro 16』を使用した感想について紹介していきます!
軽いタッチでかなりスラスラと描ける
本製品を使用して、ペインティングソフトで色々と描いてみました。
ペンを握ってディスプレイに軽く触れるだけで、流れるようにめちゃくちゃスラスラと描くことができました。
▼実際に描いている様子
▼傾き検知機能により、太い線から細い線まで思い通りに描けます
細い線から太い線まで、触れるか触れないか分からないほど軽いタッチでディスプレイ上に描くことが可能となっています。反応性も良好であり、ペン先の動きに対して描画の遅延や位置ズレなどは一切感じられませんでした。
▼描画位置のキャリブレーションが5点で行われるため、優れた位置同期精度を実現しています。
ペンの後部末端に搭載されたテールスイッチを利用して "消しゴム" 機能を利用した場合も、スーラスラと消すことができます。
ペンをディスプレイ上に接触させた際も、沈み込みはほとんど感じられません。
これにより優れた書き心地を実現していると同時に、液晶面へのキズを最小限に抑えることが出来ています。
また本製品はタッチ機能に非対応のため、素手でディスプレイを触れても認識されません。この点は使用者によって賛否あるかもしれませんが、個人的には誤認識される心配が無く絵描きに集中することができるため、嬉しい設計です。
私は今までにいくつか液タブを使ったことがありますが、これほどスムーズに気持ちよく描ける液タブを使用したのは初めてです!
綺麗で色鮮やかなディスプレイ
1920×1080解像度に対応したディスプレイでは、実に綺麗で色鮮やかな映像が描画されます。
▼明るい色から深みのあるダークな色調まで、多彩かつ鮮明な色彩で表現される。
また、178度の広い視野角に対応しているほか、アンチグレアフィルムのおかげで照明などによる照り返しもほとんど感じられません。
▼角度をつけてもキチンと綺麗な映像が見えます。
輝度調節がラク
上述したように、製品の側面には輝度調節用のボタンが搭載されています。
液タブを使用している際は画面に集中するため、明るさによって目が次第に疲れてきます。
そのような場合でも、側面のボタンをタッチすることで簡単に輝度調節できるため、かなり便利な設計であると感じました!
長時間使用し続けても発熱は気にならない
レビュー時において本製品を連続4時間ほど使用してみましたが、液タブ本体はそこまで熱を持つことはありませんでした。
液タブは、製品によっては本体がかなり熱を持つものもあり、その場合、低温ヤケドなどの恐れがあります。
しかし本製品では長時間使用してもほとんど感じられないほどの発熱しかないため、安心して利用し続けることが出来るでしょう。
ただし、室温の高くなる夏場などにおいては多少の熱を持つ可能性があります。その場合は、付属の2本指グローブの使用をオススメします。
メイン・サブモニターとしても普通に使える
液タブはHDMIポートに接続することで、PC画面をそのまま出力することができます。
上述したように本製品は解像度が綺麗で発色も良く、リフレッシュレートも十分に高いため、メインモニターもしくはサブモニターとしても普通に利用できるほどの品質となっています。
▼動画を再生した場合でも品質の高い映像を楽しめます。※ただしスピーカーは搭載していません。
また、タッチペンを用いたページスクロールやクリック操作も感度が良いため、ウェブブラウジングも快適です。
▼実際に操作している様子
純粋に液タブとして使用するも良し、PC用のモニターとして兼用するも良しの、汎用性の高い製品となっています!
専用の無料ソフトを用いて機能をカスタマイズ
開発元の公式サイトにて配布されている無料ソフト『Pentablet』を利用することで、液タブの機能を細かくカスタマイズすることが出来まsう。
上記リンクにアクセス後、対応OSのソフトウェアをダウンロード&インストールしてください。
ソフトウェアを起動すると、接続しているXP-PENの製品が認識され、以下のような設定インターフェースが表示されます。
このソフトウェア上では、液タブ本体に搭載されている『デュアルホイール』と、計8個の『エクスプレスキー』に割り当てる機能をカスタマイズしたり、タッチペンに関する調整を行うことが可能です。
▼タッチペンのボタンに割り当てる機能も変更可能。
▼デュアルホイールおよびエクスプレスキーに好みの機能を割り当てて、自身が最も使いやすい環境を実現できます。
▼自分好みに機能をカスタマイズ!
液タブの表示向きを変更可能
なお、ソフトの "回転の設定" から、液タブの表示向き(角度)を変更することも出来ます。
▼通常時(横向き0°)
▼縦向き(90°)に変更した場合。
また、270°に設定することで、左利きの方でも使いやすくなります。
このように無料ソフトを用いることで、使用者の利便性に合わせて細かなカスタマイズが出来る点 は非常に嬉しいですね!
機能・デザイン・コストのすべてにおいて高いクオリティを実現
- 性能:(☆4.5)
- デザイン:(☆4.5)
- 扱いやすさ:(☆5)
- 価格(コスパ):(☆5)
- 総合評価:(☆5)
今回紹介した『Artist Pro 16』について、特長をまとめると以下の通りです。
良かった点
- X3スマートチップを導入した高性能液タブ
- 非常に薄型のスタイリッシュデザイン
- 軽いタッチでスラスラ描くことができる
- 幅広い色域をカバーした美しい映像を描画
- 長時間使用し続けてもあまり発熱しない
- 性能に対してリーズナブルな価格(高コスパ)
- 無料の専用ソフトで詳細なカスタマイズが可能
悪かった点
- 設置角度の調整が出来ない(別途スタンドの購入を推奨)
以上の通り、5万円前後という比較的リーズナブルな価格に対して、優れた性能とデザイン性を両立した高コスパな液晶ペンタブレットとなっています。
X3スマートチップを導入した結果、従来モデル以上に快適な書き心地を実現。ほとんど力を入れずともスラスラと思い通りの絵を描くことができます。
幅広い色域をカバーしたフルHD解像度対応のディスプレイは美しく、PCのメインモニター・サブモニターとしての利用にも十分に耐えうる品質となっています。
そして公式が配布している無料ソフトを利用することで、自身にとって使い勝手の良くなるように詳細なカスタマイズを行うことも可能です。
一方で、設置角度を調整するための機構が備わっていないため、別途スタンド類の購入をオススメします。
可能な限りコストを抑えつつ、高性能な液タブを購入したい方には是非オススメしたい一品です!
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